重国籍で生まれた若者の20歳までの国籍選択義務

国籍法第14条1項、知っていますか?

『外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなった時が十八歳に達する以前であるときは二十歳に達するまでに、その時が十八歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。』

つまり、2つ以上の国籍をもって生まれた重国籍の日本人(いわゆる「ハーフ」)は、20歳までに国籍を選択する法律上の義務があることが定められています。

義務だけど、黙認されてきた国籍選択

重国籍の若者の国籍選択義務と現状

国籍法14条1項により、重国籍で生まれた日本人は、成人(18歳)から2年以内、つまり20歳までに国籍選択をすることが法律上義務とされています。しかし、この時期に当事者への案内や通知等はなく、そのままにしていても罰則はありませんがこの期間を過ぎても選択の義務自体はなくなりません。当事者や家族も、そのうち案内が来ると思ってそのままにしているという人がほとんどです。

また、法務大臣は書面で国籍の選択を催告でき(15条1項)、催告後も選択しないでいると日本国籍を失うとされています(15条3項)が、実際に今まで一度も催告が実施されたことはなく、催告の結果日本国籍を失った人も一人もいない*ことが報告されています。

*日本弁護士連合会「わかりやすい国籍法Q&A 日本の国籍制度の全体像を知るためのパンフレット」2024年6月

国籍法第14条1項への問題提起

重国籍で生まれた若者の人権を守るため、一定条件下で重国籍を容認してほしい

国からの積極的案内や通知もなく重国籍が黙認されているといっていい現状にも関わらず、社会では「重国籍者=法律違反」の扱いを受けたり、批判の対象になるなど、国籍法第14条は、重国籍の当事者の若者たちに将来への不安を与えるという結果を招いています。同時に、実際に国籍法第14条1項の通りに20歳までに国籍選択をすると、当事者の生活に大きな損害が出るほか、様々な観点において人権侵害の問題も生じます。

私たちYLSは、日本国への利益相反とならない場合について、生まれ持った重国籍を保持できるよう、国籍法第14条1項改正の検討が始まることを望んでいます。

20歳までの国籍選択が引き起こす問題の例...

アイデンティティ

国籍選択はどの故郷を選び、捨てるかという「過酷な二者択一」です

学業の継続

在学中の奨学金資格喪失、留学計画中の人には留学条件への悪影響が懸念

居住の権利

国籍がないと、故郷の国なのに「在留許可申請」やその更新が必要になります

自由な出入国の権利

家族に会うための出入国もビザ免除処置の無い国では事前のビザ申請が必要に

キャリア機会喪失

公的な機関でのインターン資格や公務員等試験の受験資格も失います

国籍と共に失うもの

他にも、参政権や社会保障、家族とのつながりなど沢山の事に影響があります

Numbers talk...

国際的なルーツを持つ日本人は増加する一方です。日本と外国のアイデンティティの影響を受けて育った若者に、一方の国籍を選択する過酷な二者択一の義務を課すのは現代日本社会にはそぐわないのではないでしょうか?

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の新生児中1人は父母のどちらかが外国人 (人口動態調査・2023年)

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の国連加盟国が重国籍を容認(マースリヒト大学調査・2018年)

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婚姻約3.5%が国際結婚(結婚と家族をめぐる基礎データ・2022年)

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重国籍(と思われる)日本人の数(法務省推計・2018年)

私たちの活動と目的について

私たちは、国籍法第14条1項で定められる、重国籍で生まれた日本人(いわゆるハーフ)の若者に課される「20歳までの国籍選択義務」について、この問題に共感する高校生・大学生の日本人と重国籍の日本人を中心とした研究会です。私たちは、本テーマに関連する調査や研究、広報活動を行うと同時に、自らがオピニオンリーダーとなり国籍法第14条1項の改正の必要性を提起します

国籍選択への理解浸透

社会一般、特に国籍選択の当事者である重国籍者本人や未成年の当事者の保護者への国籍選択の現行の制度や課題に関する理解の浸透。

様々な意見の集約

現在の国籍法第14条1項の持つ課題や影響、当事者や有識者、そして社会一般の声・意見などを集め見える化すること。

社会の重国籍容認

社会、加えて企業や自治体等の重国籍への理解そして重国籍者の雇用の容認等、重国籍者がそのアイデンティティを活かすことができる社会の実現。

最終目標:国籍法改正

重国籍で生まれた人の人権、どのような条件下で日本国籍が認められるか等が検討され、国籍法第14条1項が改正されること。

Young Leaders’ Society for Nationality Act in Japan (YLS)

THE TEAM

私たち、Japan Dual Nationality Young Leaders Networkの運営メンバーを紹介します。

一緒に活動して下さる高校生・大学生のメンバーも募集しています。世界中のどこからでも空いている時に参加できます!お気軽にご連絡ください!

ディサント愛子エリサベッタ

Aiko Elisabetta Di Santo

発起人・代表理事
国籍:日本・イタリア
ローマ大学Sapienza 1年生

Yurika Matsufuji

理事
国籍:日本・フィリピン
上智大学 1年生

Young Leaders’ Society for Nationality Act in Japan (YLS)

一緒に活動しませんか?

学校では勉強しない国籍の事。よりよい社会の実現を目指して、調査・研究、文書の編集や広報などの活動に参加してくれる高校生以上のメンバーを募集しています。

Blog

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